健康志向や周囲への配慮から、紙巻きタバコから「新型タバコ」への切り替えを検討する方が増えています。
新型タバコには、大きく分けて加熱式タバコと電子タバコ(VAPE)の2種類があります。
その大きな違いはタバコ葉を使用しているかいないかにあり、この違いが健康への害や費用面の差異につながります。
本記事では、電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコを健康被害、コスト、受動喫煙リスク、使いやすさなど多角的に比較し、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
禁煙・節煙を考えている方が自身に合った選択肢を見つけられるよう、徹底比較していきます。
電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコの主な違いはタバコ葉の使用有無
加熱式はタバコ葉入りのスティックをバッテリーで加熱し、電子タバコ(VAPE)はリキッドを入れたアトマイザーを加熱して蒸気を吸引します。
それぞれの違いについて詳しく解説します。
- 電子タバコ(VAPE)はリキッドを蒸発させて吸う
- 加熱式タバコはタバコ葉を加熱して吸う
- 仕組みの違いで有害物質の発生量が大きく変わっている
電子タバコ(VAPE)はリキッドを蒸発させて吸う
電子タバコ(VAPE)はタバコ葉を使わず、液体(リキッド)を電気の力で加熱して発生した蒸気(エアロゾル)を吸引する製品です。
リキッドにはプロピレングリコールや植物性グリセリン、各種フレーバー(香料)などが含まれており、これらをコイルで熱することで煙状の蒸気を発生させます。
紙巻きタバコのように葉を燃焼させないため煙や灰が出ず、ニコチンやタールも原則含まれません。
そのため、日本の法律上はタバコ製品ではなく雑貨扱いとされ、喫煙専用室以外でも吸うことができます。
加熱式タバコはタバコ葉を加熱して吸う
加熱式タバコは、紙巻きタバコの代替として登場したタバコ葉を使用するデバイスです。
専用のタバコ葉入りスティック(ヒートスティック等)をデバイスに挿入し、高温で加熱して発生したエアロゾルを吸引します。
燃焼ではなく加熱なので紙巻きタバコのような火や灰は出ませんが、タバコ葉そのものを熱しているためニコチンが含まれる点で電子タバコ(VAPE)とは異なります。
法律上は「タバコ製品(たばこ用具)」に分類されるため、タバコ税の課税対象となり、飲食店など屋内での使用も紙巻きタバコと同様の制限を受けます。
例えばIQOSはブレードで直接スティックを加熱し、gloは全方位から加熱、Ploom TECHは低温加熱など方式に違いがありますが、いずれも「タバコ葉を加熱してニコチンを含む蒸気を吸う」製品です。
仕組みの違いで有害物質の発生量が大きく変わっている
上記の通り、電子タバコ(VAPE)はタバコ葉を使わず燃焼も起こらないのに対し、加熱式タバコはタバコ葉を使用しているという根本的な違いがあります。
この仕組みの差が、有害物質の発生量に大きな違いをもたらします。
紙巻きタバコでは燃焼により約6,000種以上の化学物質が発生し、そのうち約100種が有害・発がん性物質とされています。
加熱式タバコは燃焼こそしないもののニコチンやタールは含まれており、煙中の有害成分も紙巻きより少ないとはいえゼロではありません。
一方、電子タバコ(VAPE)はニコチンもタールも含まず(※ニコチン入りリキッドを除く)燃焼由来の一酸化炭素やタール類、微細粒子の発生が極めて少ないのが特徴です。
電子タバコ(VAPE)の方が加熱式タバコよりも健康面では優秀
新型タバコ2種の健康面を比較すると、電子タバコ(VAPE)の方が有害性が低いと考えられます。
ここでは、タール・ニコチン・有害物質の観点と、未解明な長期リスクと電子タバコ(VAPE)の利点について解説します。
- タールが発生しないので喉や肺への負担を軽減できる
- ニコチンゼロのリキッドが主流なので依存症のリスクも低減できる
- 燃焼由来の有害化学物質が圧倒的に少ない
- どちらもまだ長期的な健康リスクについては研究段階

タールが発生しないので喉や肺への負担を軽減できる
紙巻きタバコや加熱式タバコでは、タバコ葉由来のタールがどうしても発生します。
タールには多数の発がん性物質が含まれ、ヤニとなって喉や肺にこびりつき、呼吸器に大きな負担をかけます。
一方、電子タバコ(VAPE)のリキッドにはタバコ葉が含まれないためタールが一切発生しません。
その結果、喉や肺を黒く汚すヤニが出ず、呼吸器への負荷を大幅に軽減できます。
実際、紙巻きタバコから電子タバコ(VAPE)に切り替えたユーザーからは「痰や咳が減った」「喉のイガイガが和らいだ」という声も聞かれます。
もちろん「喉に良いタバコ」は存在せず、吸わないのが一番ですが、少なくともタールゼロのVAPEは喉や肺への有害影響を格段に減らせる選択肢と言えます。
ニコチンゼロのリキッドが主流なので依存症のリスクも低減できる
タバコのニコチンは強い依存性を持ち、喫煙習慣がやめられなくなる主な原因物質です。
加熱式タバコはタバコ葉を使用するためニコチンが含まれており、紙巻き同様にニコチン依存のリスクがあります。
一方、日本国内で流通する電子タバコ(VAPE)用リキッドの多くはニコチン0mgであり、ニコチンを摂取せずに済みます。
そのため、電子タバコ(VAPE)であればニコチンによる血圧上昇や動脈硬化リスクを避けられ、何より依存症になりにくいメリットがあります。
海外ではニコチン入りリキッドもありますが、日本では薬機法の規制もあり一般販売はされていません。
ニコチンなしでもフレーバーや喫煙の動作で満足感を得られるため、「ニコチンを断ちたいけど口寂しさを紛らわしたい」人にもVAPEは有効です。
燃焼由来の有害化学物質が圧倒的に少ない
紙巻きタバコの煙には一酸化炭素やタール、ホルムアルデヒド、シアン化水素など数百種類もの有害化学物質が含まれています。
加熱式タバコはそれらを大幅に削減できるとはいえ、完全には取り除けません。
一方、電子タバコ(VAPE)の蒸気に含まれる成分は主に食品にも使われるグリセリンやプロピレングリコール、水分と香料であり、燃焼に伴う一酸化炭素やタール、微小粒子(PM2.5等)はほぼ発生しません。
専門家も「電子タバコ(VAPE)は紙巻きや加熱式より有害性が低いのはほぼ間違いない」と指摘しています。
つまり有害化学物質の暴露量という観点では、電子タバコ(VAPE)が最も少なく、加熱式はそれに次ぎ、紙巻きタバコが最も多いという順番になります。
どちらもまだ長期的な健康リスクについては研究段階
電子タバコ(VAPE)・加熱式タバコともに日本で普及してから年数が浅く、長期的な健康影響はまだ不明な部分が多いのが現状です。
加熱式タバコの代表格IQOSが国内発売されたのは2014年(全国展開は2016年)であり、約10年程度しか経っていません。
電子タバコ(VAPE)はそれより少し前から存在しますが、大規模に使われ始めたのは2010年代後半です。
したがって20年30年と使用した場合のリスクについてはデータが揃っておらず、「将来こういった病気が増える」という結論付けはできない段階です。
新型タバコはいずれも「従来のタバコよりはマシだが無害ではない」という認識で、引き続き長期影響の研究を注視する必要があります。
電子タバコ(VAPE)の方が加熱式タバコよりも長期的にコスト面で優秀
続いて、費用面で両者を比較します。結論から言えば長期的なコストパフォーマンスは電子タバコ(VAPE)の方が優れます。
初期費用とランニングコスト、税金の違いを見てみましょう。
- どちらもデバイス代が初期コストとして発生する
- ランニングコストではリキッドの再補充のみで良い電子タバコ(VAPE)が優勢
- 税金でもたばこ税がかからない電子タバコ(VAPE)が優勢
- 長期的に見ると電子タバコ(VAPE)の方がコスパがいい
どちらもデバイス代が初期コストとして発生する
加熱式タバコと電子タバコ(VAPE)の初期費用を比較すると、両者に大きな差はありませんが、モデルによって価格帯が変わります。
- IQOSイルマ:約6,980円(廉価版3,980円~高級モデル9,980円)
- glo hyper:約3,980円
- Ploom X:980円(キャンペーン価格)
- 安いもので1,000円前後から
- 高性能なものでも5,000円程度が中心
- POD型やペン型のスターターキットは2,000~4,000円程度
電子タバコ(VAPE)には「使い捨てタイプ」もあり、初期コスト0円(製品購入代のみ)で始めることも可能です。
初期コストは両者大差なく、選ぶモデルによって費用が上下します。
ランニングコストではリキッドの再補充のみで良い電子タバコ(VAPE)が優勢
継続的な費用(ランニングコスト)は、電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコで大きな差が出ます。
項目 | 電子タバコ(VAPE) | 加熱式タバコ |
---|---|---|
主な消耗品 | リキッド、コイル(またはポッド) | タバコスティック |
消耗品価格 | リキッド:30mlボトル 2,000~3,000円 | タバコスティック:1箱20本入り 430~580円 |
月間消費量 | リキッド:約50~60ml | タバコスティック:約30箱(1日1箱の場合) |
月間コスト | 約5,000円前後 | 約12,000~18,000円 |
年間コスト | 約62,000円 | 約180,000円 |
補充方法 | リキッドを自分で補充して繰り返し使用 | 使用するたびに新しいスティックが必要 |
コスパ評価 | 優れている | 標準的(紙巻きタバコと同等) |
加熱式タバコは使用するたびに専用のタバコスティックを消費するため、紙巻きタバコ同様に毎日消耗品を買い続ける必要があります。タバコスティックの価格は1箱20本入りで430~580円程度(銘柄による)で、紙巻きとほぼ同等です。
一方、電子タバコ(VAPE)はリキッドを自分で補充して繰り返し使う方式で、消耗品はリキッドとコイル(またはポッド)くらいです。
リキッドは30mlボトルが2,000~3,000円程度で売られており、使い方にもよりますが1ヶ月に消費するリキッドはおおよそ50~60mlが目安です。
つまり月あたり5,000円前後のリキッド代で済む計算となり、加熱式タバコの月1~2万円に比べ圧倒的に安上がりです。
継続費用に関しては電子タバコ(VAPE)が加熱式タバコより圧倒的にコスパ良好なのは明らかです。
税金でもたばこ税がかからない電子タバコ(VAPE)が優勢
上記ランニングコストの差を生む一因に税金があります。
加熱式タバコのスティックには紙巻きタバコ同様にたばこ税が課税されており、価格の半分近くが税金です。
事実、政府は2024年度から数年かけて加熱式たばこの税額を紙巻きタバコと同水準まで段階的に引き上げる方針を決定しました。2026年には1箱あたり40~90円程度の増税が予定されており、その後も年0.5円/本の増税が計画されています。
一方、電子タバコ(VAPE)はタバコ葉を含まないためたばこ税の非課税扱いです。
リキッドは消費税以外の特別な課税はなく、価格改定も原料コスト程度でしか起こりません。つまり、たばこ増税の影響を受けず価格が安定しているのです。
今後もたばこ税は増加の一途を辿るため、長期的には電子タバコの経済的優位性がさらに高まるでしょう。
長期的に見ると電子タバコ(VAPE)の方がコスパがいい
以上を踏まえれば、初期費用こそ両者それほど変わらないものの、継続費用と税負担が軽い電子タバコ(VAPE)の方が長期的には圧倒的に安く済むことがわかります。
年間トータルで電子タバコ(VAPE)は加熱式タバコの1/3以下の費用で利用可能です。
仮に紙巻きタバコからの乗り換え先を検討しているなら、「節約」という観点では加熱式より電子タバコ(VAPE)を選ぶ方が経済的メリットが大きいでしょう。
通常の使い方であれば月数千円~1万円弱程度に収まり、たばこ代に悩んでいる喫煙者には大きな魅力となります。
「喫煙習慣で家計に負担を感じている」という方にとって、電子タバコ(VAPE)は健康面だけでなく経済面でも優れた選択肢と言えるでしょう。
電子タバコ(VAPE)の方が加熱式タバコよりも受動喫煙リスクが低い
紙巻きタバコと比べれば加熱式タバコは副流煙が少ないとはいえ、吐き出す煙(呼出煙)にはニコチンやタールが含まれ、デバイスからもわずかに副流煙が発生します。
そのため、近くにいる人はニコチンやタールを吸い込む可能性があり、完全には受動喫煙を避けられません。
実際、加熱式タバコ利用者の家族の尿からニコチン代謝物が検出されたという報告もあり、周囲の人も多少なりともタバコ成分にさらされていることが分かっています。
一方、電子タバコ(VAPE)はタバコ葉不使用でニコチンやタールを含まないため、吐く息に有害成分はほぼゼロです。
これが、電子タバコ(VAPE)の方が加熱式タバコよりも受動喫煙リスクが低いといえる理由です。
電子タバコ(VAPE)は有害物質を含まない蒸気しか発生しない
電子タバコ(VAPE)には副流煙(点火がないので正確には出ない)も無く、周囲に拡散するのは基本的に香り付きの水蒸気のみとなります。
厚生労働省も電子タバコ(VAPE)の副流煙による健康影響は確認されていないとしています。
つまり、電子タバコ(VAPE)であれば他人に害を及ぼす恐れが極めて低いのです。
もちろん、白い蒸気そのものが完全に無害かは未解明な部分もあり、マナーとして周囲への配慮は必要ですが、少なくともニコチンやPM2.5をまき散らす心配がない点で安心できます。
以上から、受動喫煙リスクの観点でも電子タバコ(VAPE)は加熱式より優れていると言えるでしょう。
電子タバコ(VAPE)の方が加熱式タバコよりメンテナンスが簡単なことが多い
デバイスのお手入れや手間の違いも、使用感に影響します。この点では電子タバコ(VAPE)の方が総じてメンテナンスが簡単です。
- 電子タバコ(VAPE)は使い捨て式が選択肢にある
- 電子タバコ(VAPE)のPOD式はカートリッジを2週間に1度交換するだけ
電子タバコ(VAPE)は使い捨て式が選択肢にある
電子タバコ(VAPE)には様々な種類がありますが、手軽さを重視するなら使い捨て式という選択肢があります。
使い捨てVAPEは最初から充電済み・リキッド充填済みの状態で販売され、使い切ったらそのまま廃棄するタイプです。
煩雑な充電やリキッド補充が不要で、購入後すぐに使えてメンテナンスフリーなのが利点です。
フレーバーを変えたい時も別の使い捨てを買えば良いだけなので、デバイスの清掃や管理に手間をかけたくない人に向いています。
最近では小型でデザイン性の高い使い捨てVAPEが多く登場し、日本でもコンビニ等で手軽に入手できるようになりつつあります。
加熱式タバコには基本的にこのような使い捨てタイプはなく、必ずデバイスを継続使用する前提なので、お手入れや充電からは逃れられません。
その点、電子タバコ(VAPE)には極端にメンテナンスを省ける使い捨て型があるぶん、ユーザーの手間を減らす選択ができます。
電子タバコ(VAPE)のPOD式はカートリッジを2週間に1度交換するだけ
電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコのメンテナンス性を比較すると、電子タバコ(VAPE)の方が明らかに優れています。
特に近年主流のPOD型VAPEは、リキッドタンクとコイルが一体化したポッドを1~2週間に一度交換するだけで済み、煩わしいコイル交換やタンク洗浄の手間が大幅に軽減されています。
リキッド補充も上から注ぐだけの簡単構造で、内部にヤニ汚れが溜まることもありません。
一方、加熱式タバコは使用を重ねると加熱ブレードやホルダー内部に茶色いヤニ汚れが堆積するため、10~20本使用ごと(1日~数日に1回)の定期清掃が必要です。
放置すればスティックの刺さりが悪くなったり、味や匂いに影響が出ることもあります。
電子タバコ(VAPE)は構造上ヤニが出ず、POD式ならカートリッジ交換のみで、日常的なメンテナンスの手軽さでも電子タバコ(VAPE)に軍配が上がります。
電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコの違いに関するよくある質問
最後に、電子タバコ(VAPE)と加熱式タバコの違いにまつわるよくある質問とその回答をまとめます。
- 喉にいいタバコはありますか?
- 喫煙で吐き気を感じる原因はなんですか?
- 喫煙による身体への影響を教えてください
- アイコスをやめたらどのような効果がありますか?
- タバコと電子タバコ(VAPE)ではどっちが体に悪いですか?
- アイコスで癌になった事例はありますか?
- アイコスとタバコではどっちが体に悪いですか?
- 加熱式タバコの健康被害について最新の事例を教えてください
- 加熱式タバコで肺は汚れますか?
- 加熱式タバコの副流煙にはどのような問題がありますか?
- 電子タバコ(VAPE)にはどのような種類がありますか?
喉にいいタバコはありますか?
残念ながら「喉にいいタバコ」は存在しません。
どんなタバコ製品でも煙や蒸気を吸えば喉の粘膜を刺激し、何らかの負担や炎症を起こします。
ただし、電子タバコ(VAPE)はタールを含まないため、喉や気管支にヤニがこびり付くことがありません。
紙巻きタバコを吸うと喉がイガイガしたり咳が出るのはタールや刺激物質の影響ですが、VAPEならそうした症状が起きにくくなります。
またニコチンゼロリキッドを選べば粘膜収縮作用も避けられます。
とはいえ、決して電子タバコ(VAPE)が喉に良い健康グッズというわけではありません。
あくまで「従来のタバコよりマシ」程度に考え、喉に痛みがある時は禁煙することが一番です。
喫煙で吐き気を感じる原因はなんですか?
タバコを吸って吐き気を感じる主な原因は、ニコチンによる急性作用です。
ニコチンは摂取すると自律神経を刺激し、短時間で血中濃度が上がりすぎると頭痛・めまい・吐き気など中毒症状を引き起こします。
特に普段喫煙しない人がタバコを吸った時や、強いタバコを一気に吸った時に気分が悪くなるのは、ニコチンに身体が驚いている状態です。
ニコチンが延髄の吐き気中枢を刺激したり、胃腸の動きを乱すことで嘔気が生じます。
また喫煙で一酸化炭素を吸い込むと軽い酸欠状態になり、これもめまいや吐き気の一因です。
加熱式タバコや電子タバコ(VAPE)でもニコチンを摂取すれば同様のことが起こり得ます。
ただし電子タバコ(VAPE)の多くはノンニコチンなので、この点では安心です。
喫煙による身体への影響を教えてください
喫煙が体にもたらす影響は多岐にわたります。
主なものを挙げると以下の通りです。
- がんリスクの増大
- 循環器への悪影響
- 呼吸器への悪影響
- その他の疾患リスク
- 美容面への影響
- 寿命への影響
上記のように、喫煙は全身の健康に悪影響を及ぼすものです。
一方、禁煙を始めると20分後に血圧脈拍が正常化、1年で心疾患リスク半減、10年で肺がんリスク半減など、体は回復に向かいます。
少しでも健康へのマイナスを減らしたいなら早めの禁煙・節煙が望ましいでしょう。
アイコスをやめたらどのような効果がありますか?
アイコス(加熱式タバコ)を含むタバコをやめると、短期から長期にわたる様々な健康効果が得られます。
短期的(数日~数週間)には、呼吸が楽になり咳や痰が減少し、味覚・嗅覚が回復します。
禁煙後12時間程度で血中の一酸化炭素濃度が正常化し、数日~数週間で肺機能や心機能が改善します。
運動時の息切れ軽減や朝の不快な痰の消失などを実感できるでしょう。
中期的(1~12ヶ月)には、血液循環が向上して肌つやが改善し、免疫機能の回復により風邪をひきにくくなります。
1年経つと肺の自浄作用がかなり回復し、慢性的な呼吸器症状がさらに改善します。
長期的(数年~)には、循環器疾患のリスクが大幅に低下し、10年以上経つと各種がんのリスクも非喫煙者に近づきます。
経済的メリットやタバコの臭いからの解放といった社会的メリットも大きいです。
タバコと電子タバコ(VAPE)ではどっちが体に悪いですか?
紙巻きタバコの方が電子タバコ(VAPE)より圧倒的に体に悪いです。
紙巻きタバコの煙には多数の有害物質が含まれ、がんや心肺疾患などの主要因となっています。
対して電子タバコ(VAPE)はタバコ葉を使用せず、ニコチンやタールを含まないため、健康リスクが大幅に低減されます。
英国の専門機関は「電子タバコ(VAPE)は通常のタバコより95%害が少ない」と発表しており、多くの専門家も電子タバコ(VAPE)の方がリスクが低いと認めています。
健康への悪影響は「紙巻きタバコ ≫ 加熱式タバコ > 電子タバコ(VAPE)コ」という順序で考えられています。
ただし、電子タバコ(VAPE)も完全に無害ではなく、微量の化学物質曝露や依存リスク(ニコチン入りの場合)は存在します。
健康のためには全ての喫煙製品を避けるのが最善ですが、二者択一なら電子タバコ(VAPE)の方が体への負担は軽減できるでしょう。
アイコスで癌になった事例はありますか?
現時点(2025年)で「アイコスを使っていて癌になった」と直接因果関係が証明された具体的事例は公表されていません。
アイコス(加熱式タバコ)は比較的新しい製品のため、長年使用した影響で癌が発症したかどうかを統計的に示すにはまだ時間が足りないのです。
ただ、「事例がない=安全」というわけではありません。
医学専門家の見解では、加熱式タバコも紙巻きタバコと同様に発癌の可能性があるとされています。
ある研究では「加熱式タバコの発癌リスクは紙巻きと変わらない」との結論も出されています。
まだ具体的な患者事例として「アイコスが原因で○○癌になった」と断定された例こそないものの、加熱式タバコが長期的に見て癌の引き金になり得る可能性は十分にあるということです。
アイコスとタバコではどっちが体に悪いですか?
紙巻きタバコはアイコス(加熱式タバコ)より体に悪いと考えられています。
紙巻きタバコは燃焼によって有害成分が大量に発生し、喫煙関連疾患の主要因となります。
一方、アイコスは燃やさずに加熱するため、発生する有害物質の量を大幅に低減できます。
ホルムアルデヒドなどの有害物質は紙巻きタバコの何分の一にも減少しており、健康への悪影響は「紙巻き>加熱式」と一般に認識されています。
日本でアイコスなどの加熱式タバコが普及したのも「従来より害が少ない」という認識からでした。
ただし、アイコスもニコチンやタールを含み、有害物質がゼロではありません。
紙巻きほどではなくとも、長期使用すれば健康リスクは伴います。
総合的には、紙巻きタバコを吸い続けるよりアイコスに切り替えた方がリスク低減になると多くの専門家が考えていますが、どちらも無害ではないため、可能ならば両方とも控えるのが理想的です。
加熱式タバコの健康被害について最新の事例を教えてください
加熱式タバコの健康被害に関する最新研究では、2024年に横浜市立大学が発表した研究で、加熱式タバコの煙が低濃度でもがん細胞の増殖を促進させる可能性があり、高濃度では細胞死を引き起こすことが明らかになりました。
この研究では、加熱式タバコが紙巻タバコと同様に細胞毒性を持つことが示されています。
また、スウェーデンの研究では、加熱式タバコの使用により動脈血管の硬さの指標である脈波伝播速度が有意に上昇し、心拍数や血圧にも影響が見られました。さらに血栓形成能も上昇したことが報告されています。
日本では加熱式タバコの使用後に急性呼吸不全を生じた事例も報告されており、16歳と20歳の男性が「アイコス」使用後に重症の急性好酸球性肺炎となり、16歳の方は膜型人工肺の使用が必要なほど重症化しました。
米カリフォルニア大学の研究でも、加熱式タバコの蒸気に曝露したラットの血管内皮機能が、紙巻きたばこと同程度に低下することが示されています。
加熱式タバコで肺は汚れますか?
残念ながら、加熱式タバコでも肺は多少汚れます。
紙巻きタバコほど顕著ではないにせよ、加熱式のエアロゾルにもタールが含まれるため、吸えば肺にヤニが蓄積します。
実験では「加熱式と紙巻きでタールの総量はあまり変わらない」との報告もあるほどで、加熱式だから肺が綺麗なままということはありません。
実際、加熱式タバコを室内で吸い続けると壁や天井にうっすらヤニ汚れが付くことが確認されています。
それが肺の中でも起こっているわけです。
ただ、紙巻きタバコに比べれば加熱式のタール量は少ないため、肺が真っ黒に染まるスピードは遅くなるでしょう。
しかし「少しマシ」なだけで、加熱式でも肺が無傷でいられるわけではない点に注意が必要です。
長期間吸えば肺胞にタール色素が沈着し、肺機能低下や慢性炎症(COPDなど)を招くリスクがあります。
加熱式タバコの副流煙にはどのような問題がありますか?
加熱式タバコの副流煙(および呼出煙)には、以下のような問題があります。
加熱式でも吐き出す煙にはニコチンやタールなどのタバコ成分が含まれています。
紙巻きより量は少ないものの、周囲の人がそれらを吸い込めば受動喫煙となり、健康に悪影響を与える可能性があります。
実際、加熱式利用者の家族にもニコチン代謝物が検出されており、周囲の人も知らずにニコチンを摂取していることが示されています。
加熱式は燃焼しないため副流煙がほぼ出ませんが、デバイスから漏れるエアロゾルや喫煙者の吐く煙は「副流煙に準じるもの」として存在します。
特に室内で長時間使用すれば、空間中に有害物質が蓄積していきます。
加熱式タバコの煙には独特の臭いがあり、非喫煙者からすると「煙が少なくても臭いは気になる」という声もあります。
健康影響も完全に解明されておらず、副流煙暴露で血中に抗酸化ストレスの指標が上がるなどの変化が確認されています。
電子タバコ(VAPE)にはどのような種類がありますか?
電子タバコ(VAPE)は形状や使い方の違いから、大きく4種類に分類できます。
タイプ | 特徴 |
---|---|
使い捨て式 | 本体一体型で、リキッド充填済み・充電済みの状態で購入し、使い切ったら捨てるタイプです。手軽さ抜群で初心者に人気です。 |
リキッド式 (オープンシステム) | ユーザー自身がリキッドをボトルからタンクに注入して使うタイプ。ペン型は細長いペン状でコンパクト、ボックス型はバッテリー容量が大きく煙も多い高度なモデルです。 |
PODカートリッジ式 | あらかじめリキッドが入った使い捨てカートリッジ(POD)を本体に装着して使うタイプです。リキッドを自分で注がなくて良い分手間がかからず、初心者でも扱いやすいです。 |
PODリキッド式 (リフィル式POD) | POD型の派生で、中身が空になったら自分でリキッドを補充して繰り返し使えるタイプです。ペン型とボックス型の良いとこ取りとも言われ、近年主流になりつつあります |
他にも細かく言えば、シーシャ(水タバコ)風味のデバイスや、ニコチン塩対応の高濃度向けデバイスなどありますが、大枠は上記4種類になります。
初めての方は使い捨て式かPOD式から始めると失敗が少ないでしょう。
慣れてきて色々試したくなったらリキッド式に挑戦すると、より多くのフレーバーやカスタムが楽しめます。